集落の片隅に咲く桜と道祖神を見つけた。道祖神は、悪霊や悪い病が村へ入るのを防いだり、旅人の安全を守り、五穀豊穣、家内安全、子孫繁栄などの守り神と、様々な祈りの対象だったと聞く。この道祖神は集落のはずれの街道沿いにあることから、街道を旅する人の安全を祈って設置されたものなのだろう。
道祖神は、日本人の他人に対するやさしさの現れの一つだと思う。この道祖神はこれまでも街道を行き交う様々な人を見送ってきたことだろう。街道をゆく旅人、進学や就職で都会に向かう若者や、その昔は戦争に赴く若者も見送ってきたことと思う。現代の日本人にも、当時の人が道祖神に込めた他者に対する思いやりややさしさといったものが残っていると信じたい。でないと、いつかこの風景とともに、日本人のアイデンティティーも消えてしまうのではないか。そんなことを考えながら、シャッターを切った。

水郡線 泉郷~川東間 2025年4月19日撮影
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