ロシアナショナルオーケストラの演奏会。

 

昨日行われたロシアナショナルオーケストラの演奏会を聴いてきました。

 場所はみなとみらいホール。音響もよく収納力に優れた、どの席から観ても見やすいとても優れたホールです。演奏曲目は当初2曲の予定でしたが、急遽指揮者の意向でチャイコフスキーのイタリア奇想曲が追加になったので、1.チャイコフスキー イタリア奇想曲、2.ラフマニノフ コンチェルト3番、3.ショスタコーヴィチ 交響曲5番 となりました。アンコールは1.ヨハンシュトラウス? ハンガリー万歳 2.ハチャトリアン レスギーンカでした。私は別に音楽に詳しいわけではないので、所感を少し。
 チャイコフスキーのイタリア奇想曲はほとんど初めて聞く曲だったのですが、割と旋律は追いやすい曲だったど思います。ファンファーレのようなトランペットの出だしで始まりますが、その後は「うーん、良くも悪くもチャイコフスキー...」という曲です。随所に彼のその後に続く交響曲に繋がっているんだな、と感じる部分がある曲です。苦悩しながらも自分の新しい人生を発見しようと作曲に打ちこむチャイコフスキーの前向きさと苦しみが感じられます。比較的軽めの曲なのでコンサートのオープニングにはなかなかよい曲だと思いました。
 この曲は時間にして15分程度の曲なので、休みを挟まず次のラフマニノフ コンチェルト3番に進みます。今日のピアニストは日本人の女性で、まだ23歳の上原綾子さん。昨年のチャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で女性として、また日本人としても初めて優勝したとてもすごい方だそうです。ラフマニノフのピアノコンチェルトを実際に生で聞くのは初めてだったのと、この方が演奏するというので、これをお目当てにしている観客が結構いたようです。私も一人のラフマニノフファンとして(^_^;)、この日を楽しみにしていました。この曲は、ラフマニノフのピアノ曲の完成形ともいう曲で、あらゆる彼のなしうる技巧を凝らしたものすごい難曲といわれています。本当に繊細な曲で、でも軽やかに弾くという感じではなくて、鬼気迫るような旋律がずっと続くような曲なので、ピアニストは本当にきつそうです。途中のわずかなインターバルではぐったりという感じで、見ていても本当にきついのだということがひしひしと伝わってきました。こんな緊張感の続く曲は他にないのではないでしょうか。オケとも常に拮抗しているような曲なので、力のない演奏だとピアノは負けてしまうでしょう。正直なところ、ちょっと一部、特に高い音のところでピアノがよく聞こえない部分があったのですが、ホールだとこういう感じなのかな?私は普段CDしか聴いてないし、ホールでは席によって聞こえにくい音もあるかもしれないし、彼女なりの表現で強弱をつけている部分もあるでしょう。でも、本当にすばらしい演奏だったし、ラフマニノフを生で聞いたのは初めてだったので、もう本当に感動的でした。ぜひもう一度昨日の演奏を思い出しながら、CDを聴き較べてみたいと思います。
 最後の曲はショスタコーヴィチ 交響曲5番です。この曲は、いわゆる冷戦体制下のロシアでかかれたことを感じさせる、すごく重苦しい曲なのですが、昨日の演奏は本当に良かったです。ホールで聴いたのは初めてでしたが、この曲は本当はこんなに豊かな音の溢れる曲だったんだ、と初めて気がつきました。楽器も他の曲で使わなかったバズーンやハープ、ピアノに似た民族楽器みたいのが出てきてました。あと、意外とソロの部分が多く、バイオリンやフルートの見せどころも多かったです。あと、この曲はホルンがずっと吹きっぱなしなので、ホルンの人は本当に大変だったと思います。この演奏はまとまりも一番よく、昨日の演奏会で一番強く印象に残りました。この曲がこんなに楽しく聴けるなんて、それほど期待していなかっただけにこれはかなり意外でした。やっぱり生演奏はその場にいないとわからない発見が多くて本当に楽しいですね。これからもなるべく生の音楽に触れ続けて、もっと豊かな感性を身につけていきたいと思います。なんだか、生演奏は聴けば聴くほど新しい世界が広がって視野が広がるような気がするので、新しい自分を発見できそうな気がするのです。それに、Nちゃんも喜んでいたし、心が豊かになるといっていたので、ご機嫌になってくれるなら多少高くてもいいかな、と思います。